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移転価格の基本的な考え方


日本の税制は、財産の所有や移転、収益(所得)の発生に対して税金がかかります。基本的にほとんどの経済活動に対して税金がかかわってくることになります。

では、移転価格税制とは何でしょう。

一言でまとめるなら、法人の収益(所得)が適正であるかを問われる税制といえます。そういった意味では、所得に対して課税が行われる法人税や所得税と同様の仕組みで、税制として分類されているわけです。

一方で、我々税理士の間では、移転価格と聞くと通常の税務とは異なる特殊なカテゴリーという認識を持っています。私も、移転価格に携わる前は、何か難解なもの、という認識をもっていました。ほとんどの税理士は移転価格に関わることがないのが一般的です。

なぜ、税務のプロである税理士がよくわからないという認識を持つのでしょう?

法人税や所得税において、所得が適切に計算されているかは、収入と費用の網羅性や妥当性、計算の過誤の有無が焦点になります。一方、移転価格では、所得の総額ではなく、グループ企業間の利益の配分の妥当性が焦点となります。適切な所得、税額を計算するうえでの構成要素が全く異なるのです。

日本の移転価格税制では、海外の関連会社との利益の配分の妥当性が問題となります。当然ですが、日本の税制は日本の企業に対して有効で、子会社だとしても海外の法人に

日本の税制を適用することはできません。海外の子会社はその所在地国の税法に従う必要があります。すなわち、日本の税法は、海外子会社に対して強制力を持って課税権を行使することはできないのです。

さて、グループ企業間の利益配分に関して、他国の税務機関が日本の税務機関と同じルールを適用できれば、企業はそうした統一化されたルールに従ってグループ間の利益配分を行えばいいわけです。移転価格の問題は発生しません。しかしながら、’’税’’は、国家が国家であるための基本的な制度であり、その国の文化や慣習などを表象する側面もありますので、グローバルの統一的な税法の誕生は困難といえます。

日本の税法は海外グループ企業には適用できず、一方海外グループ企業の所在地国の税法は日本の企業に適用できません。各国の間で、移転価格に関するルールや認識にずれが生じるわけです。こうした認識のずれによって、移転価格課税という潜在的な税務リスクがグループ間取引を行う企業に発生することになります。


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