- 土田国際税務会計事務所
日中相互協議に進捗
日中相互協議が9月中旬に行われる可能性が高い状況です。
前回が6月に開催されていますので、開催頻度としては順調といえます。ここ4、5年のあいだ、日中間の政治問題などもあって年1回の開催がやっとでしたので、そうした状況を踏まえて考えると、協議の進捗に期待が持てるといえます。うまくいけば、今年の年末までにもう1回相互協議が開催できるチャンスがあります。
日中間の移転価格案件は、ほとんどが中国で活動する日系現地法人に対する中国当局の移転価格調査が起因となっています。案件に偏りがあることから、中国の税務当局サイドとして必ずしも協議へのモチベーションが高くないうえに、政治問題もあり日中相互協議は一時絶望的な状況にありましたが、徐々に動き出しています。中国国家税務総局の相互協議担当部署も人員の増強を図っていますし、話を聞く限り各国との相互協議に前向きになっていますし、案件の処理をすることへのプレッシャーも受けているようですので、事態が好転することを期待しています。
なお、今後中国企業の日本への進出が増えることが想定されますが、実際のオペレーションを始めるにあたっては、事前に利益の配分などの移転価格対策を十分取っておく必要があります。日本で活発に事業活動をする中国系企業に対して、日本の課税当局が積極的に法人税調査を行い、情報収集を通じて移転価格の問題までもっていくことを志向としていると考えられます。