• 土田国際税務会計事務所

クロスボーダーのインターネット販売


本日の日経新聞に「AIに課税するには 進む社会、捉え直しを アナログ税制」という記事が掲載されていました。

今後AIの社会進出が活発化した場合に、AIにも課税を行う必要があるのではないかという内容で、社会の構造変化に税制が追いついていないことを示唆しています。この記事に、「日本で仕入れた商品を日本で日本人に販売する。こんな商売でもほとんど法人税を納める必要がないケースがある」という記載があり、クライアントさんとの会話の中で話題になりましたので、この機会に該当箇所の説明を行いたいと思います。

基本的な設定は、’’外国法人’’が行う日本での商品の仕入れ、販売という流れであり、商品の宣伝は専らウェブなどを通じて行っているといったところでしょう。今回のケースでは、商品の販売活動やマーケティングのための事務所や職員を日本に置いていないと考えられます。

税の取り扱いを考えるうえで、まずもって確認すべき前提は、外国法人はどのような経済活動に対して日本の法人税や源泉税などの対象となるかということです。国内法上、外国法人は、国内の源泉から生ずる所得、すなわち国内源泉所得を有する場合には、その国内源泉所得について納税の義務を負うことになります。たとえば、外国法人が外国において、日本語を含むホームページを立ち上げてマーケティング活動を行ったとしても、日本で課税することはできません。一方で、外国法人が日本に支店を設立して日本での販売活動を行っていく場合、当該支店の活動に起因する収入については、外国法人の収入にまとめられてその所在地国で課税されることになります。ただ、日本で営業活動を行っているにもかかわらずまったく日本で課税できないのは明らかに不合理ですので、日本の国内法上、法人格はないけれども事業を行う一定の場所があると考え、その恒久的施設に帰属する部分の収入を日本で課税できるようにしています。こうした恒久的施設(PE:Permanent establishment)に関する取り扱いは、日本が締結する租税協定にも基本的に盛り込まれています。すなわち、外国法人であってもPEが日本にあれば、PEに帰属する所得に対して日本での納税義務が生じることになります。

次に、どのような活動がPEに該当するかが問題となります。正確には日本が締結している個々の租税協定の取決めに準拠する必要がありますが、現段階では多くの租税協定において、恒久的施設には資産を購入したり、保管したり、事業遂行のための補助的活動をしたりする用途のみに使われる場所は含まれないこととされています。こうした場合、日本で資産の買い付け活動を行ったり、商品の保管のための倉庫を借りているだけであれば、日本にPEは認められず、したがって日本での源泉所得は発生していないと考えられることになります。そして、海外のある地域では、コーポレートタックスの所得の認識において、地域主義を採用し国外源泉所得について非課税としているところがあります。ウェブの運営や海外での商品売上が国内源泉所得となるかどうかは、各国・各地域の国内法の取り扱いを検証する必要がありますが、必ずしも取扱い明確でないケースも考えられ、かりにその地域・国においてそうした活動が国内源泉所得ではない(売上が国外で実現している)ということであれば、日本でも海外でもそうした事業活動に対して課税できないということが、理論上ありえるわけです。

もっとも、各国とも租税回避行為を防止するための取り組みに力を入れていますし、倉庫などの恒久的施設の例外規定についても、すべてが準備的、補助的活動でなければ恒久的施設の例外として扱わないという議論もありますので、今後租税協定の改定や国内法の改正など、各国とも抜け道を防ぐ努力をすることは間違いありません。


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