• 土田国際税務会計事務所

中国と日本との間の相互協議について


国内及び海外への出張が続いていて久しぶりのアップデートになります。今回は日本と中国との国家間の相互協議の状況についてお話ししたいと思います。

ここ4、5年ほど日中相互協議の進捗はあまりはかばかしくありませんでした。理由としては、まず中国国家税務総局の内部のリソースの問題があります。相互協議を所轄するSAT(国家税務総局)の国際税務処は、国家間の話し合いである相互協議の対応だけでなく、移転価格に関する通達の立案や公布、中国国内の移転価格調査などを担当することから非常に広範な業務範囲をカバーするにもかかわらず、人的なリソースが決定的に足りていませんでした。また、リソースの問題だけでなく、協議責任者の個性や担当者の権限なども影響していたと考えられます。さらに、大きな問題として中国ではすべてにおいて政治が優先されますので、日中の国家間の協議に対しては尖閣諸島の問題が暗い影を落としていました。ここ数年、日中相互協議の開催頻度は年1回程度に限られ、進捗は極めて緩慢であったといえます。こうしてみると、相互協議への進捗へのネガティブな影響は基本的に中国サイドの問題であることが明確です。しかしながら一方で、中国での移転価格調査はますます大規模化して課税処分が行われ、相互協議への申請案件は処理しきれずにたまっていってしまうという状況でした。

昨年末から変化の兆しは表れていました。SAT内部の人的リソースはなお不足していますが、内部の組織改編などを行い人員の拡充を図っています。協議責任者や担当者の移動があり昨年末に若干の混乱がありましたが、現状ではしっかりとした協議責任者のもと案件の処理能力が高まっていると考えられます。また、日中の政治的な関係も最悪期を脱して緩やかな改善が続いていることも追い風といえます。もっとも、中国当局は日本の憲法改正論議などを注視しているようですので、状況の変化によっては協議が停滞する可能性も考えられます。おしなべて日中相互協議には追い風が吹き始めており、たまりにたまった案件処理のため、2018年はうまくいけば年3回程度の相互協議が開催されることでしょう。


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