• 土田国際税務会計事務所

ビットコインの評価


ビットコインの価格の変動が激しくなっています。ビットコインに興味を持たれる方も増えており、意見を求められることがあります。

ビットコインなどのいわゆる仮想通貨を評価することは極めて難しい、というよりもほとんど評価不能なのですが、その現象は通貨の歴史的な変遷から理解することができると考えています。

私は通貨の専門家ではないので、大きな歴史的な流れのなかで盛り上がりを見せる仮想通貨と称される昨今の現象をとらえていきたいと思います。原始の世界では、物々交換で取引が成り立っていた考えられます。ただ、共同体が形成され、経済規模が拡大し、地理的な広がりをもつにつれ、モノとモノを交換するのでは不便になり、持運びの便利さ取引の媒体として、或いは価値の保存手段として‘‘通貨‘‘が必要となってきます。

為政者がころころ変わるような共同体では、為政者が発行する通貨を十分に安心して保有することはできません。身の回りの必需品を購入するために最小限の通貨を持つでしょうが、いつ価値がなくなるかも知れない通貨を積極的に貯めようとは思いません。こうした状況では、通貨の流通にあたって信用を補完するために、金や銀、銅といった資産それ自体にひろく価値が認められる、いわゆる実物資産を裏付けとした通貨、貨幣をを流通させることになります。もっとも、史実を調べてみると、古代メソポタミアの時代から小切手や貸付といった信用取引が生まれていたり、戦争や不況を契機に金本位制を離脱したり復帰したりと時間の流れとしては紆余曲折がありますが、大きな歴史的な流れを理解することが重要です。

第二次大戦後、ブレトンウッズ協定により、アメリカ合衆国のドルが基軸通貨として流通することになります。しかしながら、アメリカ政府の信用だけでは心もとないので、ここでもまだドルを金とペックさせるいわゆる金・ドル本位制という体裁をとります。余談になりますが、金・ドル本位制、固定為替相場、IMFと世界銀行の設立といった戦後の経済体制や国際機関は、アメリカを中心とした秩序やアメリカの影響力や経済力を盤石なものとするための巧妙な施策でしたが、結局アメリカの経済力や国力は戦後を頂点として低下の一途をただることになります。最近、アジアインフラ投資銀行やシルクロード基金の設立、人民元の国際化や一帯一路構想などを中国が進めていますが、大戦後のアメリカ主導の施策と重ね合われると中国の戦略を理解できます。

さて、金・ドルペック制は、ニクソンによる金とドルの兌換停止により終了することになります。恐らく当時はアメリカ政府の信用だけでドルが基軸通貨としての役割を果たせるかという不安があったと思いますが、結局ドルが基軸通貨として機能しつづけ現在に至ります。

現在、FRBもECBも日本銀行も、何ら制約されることなる通貨を無尽蔵に発行することができます。特に金融危機後の対応として、各国の中央銀行は通貨の発行量を大幅に増やしました。FRBはすでに出口戦略にあり、ECBも近く出口戦略にとりかかることが予想されますが、日銀はなお貨幣を刷り続けています。実物資産の裏付けは既にありませんが、各国の信用力に基づき主要国の通貨は安定しているように見えます。物々交換の時代からは隔世の感がありますが、これを歴史的な発展と呼ぶべきなのか、行き過ぎた信用の膨張と考えるべきかはさまざまな意見がるでしょうが、少なくともこうした信用の膨張を背景として新しい技術と組み合わさることでいわゆる仮想通貨が生み出され、投機熱と相まって価格が暴騰していると考えられます。

仮想通貨の未来についてはさまざまな見方があります。中核技術であるブロックチェーンは本物で、今後さまざまな用途に活用されることはほぼ間違いありません。それでは、ビットコインやリップルやその他の雑多な仮想通貨に未来はあるのでしょうか。仮想通貨が流通しても何ら新たな価値を生み出すことはありません。そういった点では金や銀と同じですが、金や銀に価値があると信じられるのは、歴史的な経緯や個別性、希少性があるためで、こうした価値観はほぼ世界で共有されています。いわばその信用力は世界でほぼ共有されているといえます。さて、仮想通貨は将来的に金や銀のような存在になり、通貨の代替手段としての価値を持つことになるのでしょうか。その結末を考えるとき、私はどうしても悲惨な結末しか想像できません。リップルではなくビットコインでなければならない個別性はなく、同じ仕組みの新しい名称の仮想通貨が今後何百と生み出されることを考えると、仮想通貨自体に希少性は認められません。すなわち、仮想通貨を取り扱う人にとって、リップルでもビットコインでもビットコインゴールドでも特にこだわりはなく、取引さえできればつまるところ何でもいいわけです。もっとも、仮想通貨の流通に際しての匿名性を好む一定の需要があることは間違いなく、タックスヘイブンの規模などを考えるとそうした実需は一般的に考えられるよりも多いかもしれません。

一方、仮想通貨の取引価格については、おそらくその値動きを正確に言い当てることができる人はいないでしょう。仮想通貨によって生み出される価値に着目して評価することはできませんし、通貨のように各国の政策や国力等で相対的に比較することもできませんし、そもそも株式やFXでさえ日々の値動きを正確に言い当てることはできないのですから、仮想通貨などは何をか言わんやです。もっとも、信用の膨張に耐え切れず、最終的には現在の価格から比較して目も当てられない状況になると考えています。というのも、仮想通貨にはその価値を保証する何らの裏付けもないからです。王様が裸であることは誰の目からも明らかで、あとは取引に参加する人々がいつそれを認識するかという問題です。それは、戦争や経済危機といった外的ショックを契機とするもしれませんし、特別ではないある日突然起こるかもしれません。


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