• 土田国際税務会計事務所

AIと未来


今回は余談です。

AIの普及に伴い既存の多くの仕事に人手が必要なくなるといわれています。もっとも、具体的にどのような職業が、いつ、どの程度AIに置き換わっていくかについては工程表があるわけではありません。AIが人類に大きな影響を与えることは間違いありません。付加価値の高い人間の仕事は、或いは余暇を有意義に楽しく過ごすための場所や手段を提供するものに限られることになるかもしれません。そういった意味では、将来的には何か熱中できるものにフォーカスして仕事として成立できるレベルまで高められる人と、二束三文で労働に従事する人に二極化していくことになると考えることもできます。

すでにチェスや囲碁の世界ではAIがその世界の第一人者を圧倒する実力をみせています。強さの鍵はディープラーニングにあり、AIが対局を積み重ねることで人間を圧倒する実力を身につけているということです。AIがすでに人間を凌駕していることは明らかですが、AIにもさまざまな種類があり、100万回の対局を行ったAIより10億回の対局を行ったAIのほうが強いということになります。AIにとって最も重要であるのはデータであり、人間でいうなら経験と言い換えられます。データをより早く処理し、より多く蓄積できるAIが優れており、その鍵となるのは、データをより早く処理する半導体であり、データをより多く蓄積するためのクラウドなどの容量ということになります。

現在、AIの進出はチェスや囲碁だけでなく、自動運転や資産運用といった領域にも広がっています。しかしながら、特定の領域におけるAIの活用は単なる表面的な活動に過ぎず、世界の先取的な企業はより大胆な試みを行っているようにみえます。アメリカではグーグルやアマゾン、中国のアリババ集団、日本では孫正義率いるソフトバンクグループなどは、より広範なデータの収集、あえて言うなら世界のすべての事象をデータとして収集し、蓄積しようとしているようにみえます。

果たして技術的に世界の森羅万象をデータとして補足し、収集して蓄積できるかどうかはわかりません。ただ、AIの活用は最終的に’’そこ’’に進んでいくと考えられます。これは単なる想像ではなく、人類のこれまでの歩みを考えると必然に思われます。

人間にとって’’不条理’’というものは常に耐え難いものです。特に自分や近しい人が悲惨な事故や事件に巻き込まれたときに、それがロシアンルーレットのように偶然自分の身に降りかかってきたとは納得できず、なぜそれが起ったのか、つまり、現在というものが単なる偶然の産物ではなく、過去からの積み重ねとしての自然な帰結であったり、神の意志や前世の因縁などといったものを設定することで、過去を整理し前向きな未来に踏み出すことができるようになります。西洋文明の起源である古代ギリシアでは、神々が人間に対して殺人であったり姦通であったりといいことも悪いことも含めてさまざまに関与します。その行為の背景に何らかの意思が明確であることもありますし、明確でないこともあるのですが、重要であるのは人間界のさまざまな事象の背景に神の意志を設定することで、人間の世界で起こる全ての事象を肯定的に捉えることができるという点にあります。その後、西洋における自然科学や哲学、文学の変遷は、過去と現在、現在と未来の架け橋を神に代わって原因と結果という因果関係で説明しよう努力してきた歴史と捉えることもできます。もっとも、その努力が成功したとは言い切れず、カフカやカミュのような作家が出現して、世の中の不条理を赤裸々に人々の眼前に提示することもありました。

過去を原因として現在が形作られると仮定した場合、現在の森羅万象すべてを把握し分析することができれば正確に次の未来を予測することができることになります。こうした仮定を想像することは、AIの人類に与える本質的な影響が、単に人間の仕事を奪うといったレベルではなく、より深く大きなものであることを理解するうえで意義のあることであると考えています。かりに世界の森羅万象をデータとして捉え、分析することができ、そのデータに基づき正確に世界の未来を予測することができるのであれば、過去から現在、現在から未来の間に不条理や神の存在する必要はなく、すべては原因と結果の因果関係のもとで理解できることになります。このとき、宗教はその根拠を失い、人々の信仰や社会、文化、或いは国家の形にまで破壊的な影響を与えるであろうことは想像に難くありません。AIの進化は、逆説的な表現を使うのであれば、神の存在の証明でもあるわけです。

自然科学の発展や文学、


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