• 土田国際税務会計事務所

投資先の選定


巷には怪しい投資話やもうけ話がありふれています。

たとえば仮想通貨です。

以前のブログで、ビットコインなどの仮想通貨の価格は低下せざるを得ないと指摘しましたが、現在の価格は当時から半分程度になっているようです。それでも、まだ1ビットコイン6,000ドル程度の価格が設定されています。

個人的には、人為的につくられた得体のしれない仮想資産のようなものを6,000ドルもの大枚を払って購入したいとは思いません。

まず何より、いわゆる仮想通貨への資金の投下は、世の中に何の価値も生み出すことはありませんので、生み出されうる価値に対する資本の投下としてその投資が合理的などうか判断する術がありません。では、なぜ人々は仮想通貨に資金を投じるかというと、値上がり益を狙っているからです。値上がり益を狙うこと自体は自然な欲求ですので是非には及びませんが、問題は値上がりするかどうかです。

巷では、ビットコインなどについて、発行上限が決められていることから、本質的にインフレしないデフレ資産であり、国家が任意に発行できる特定の通貨とは逆の性質があることから、価格が上昇するという説があります。

仮想通貨は、しかしながら本質的にこうした巷の言説とは全く逆の性質を持っています。仮想通貨はブロックチェーン技術を基礎として誰でも任意に作成することができてしまいます。私でもそれなりの知識があればxxコインといった仮想通貨を発行することができるわけで、実際に小賢しい人たちが独自の仮想通貨を発行しており、世界でどの程度の仮想通貨が発行されているのかわからない程、数多くの仮想通貨が生み出されています。すなわち、仮想通貨は、所定の知識があれば誰でも簡単に生み出すことができる性質のもので、その発行自体は制限されていませんので、仮想通貨全体でみれば極めてインフレ的な資産であるといえます。国家がその発行を管理している特定の通貨、特に主要国の通貨に比べても、そのインフレ的な性質は顕著であることから、仮想通貨の主要国の通貨に対する価格は、時の経過とともに低下せざるを得ないと考えられます。

仮想通貨のような投機対象となる資産価格は上下に激しく変動しますので、短期的な価格を予測することはできませんが、将来的には現在の1ビットコイン6,000ドルも夢のような価格であったと考えられるはずです。

次に、長期の家賃保証と抱き合わせの不動産投資についてです。シェアハウス投資などが問題となっていますが、家賃保証のついたアパート経営なども同じ構造です。

こうした投資話でお決まりのフレーズが、30年や35年などの長期にわたって管理会社が固定の家賃収入を保証するというものです。私などは、そもそも30年後にこの会社が存続しているかどうかを考えてしまうたちなのですが、ちょっとネットを検索するだけでも、本当かどうかわかりませんが企業の30年後の生存率は0.025%などといった数値が出てきます。重要であるのは、0.025%が正しい数値かどうかではなく、それぐらい会社を継続させることは難しいということです。

では、一部上場の管理会社が長期で家賃を保証する場合はどうでしょうか?

かりに2%のインフレが30年間継続した場合、実質的な購買力は半分程度に低下してしまいます。現在100,000円の収入があったとしでも、30年後にには50,000円程度の価値になってしまうことになります。建屋は30年後はボロボロでしょうから、大規模修繕や立替が必要となってくるはずです。そうした支出に対して固定収入で利益を得続けることができるかどうかが重要となります。エクセルシートで数字をやりくりすることは簡単です。実際には、身のふたもない話になってしまいますが、30年後の未来はあまりに遠く、その間の収支を事前に正確に予測することは不可能です。そもそも30年後に自分自身が生きているかどうかもわかりません。そうした不確実性の高い投資に対して、十分な自己資金も有せず、数千万から数億円の借入をして資金を投下することは、個人的にはあり得ません。

不動産投資は、その上物は時間の経過とともに価値が逓減しますので、30年を超えるような超長期の投資には本質的に適さないと考えられます。収益計画は立てる場合には、資金を投下してから10年程度でどの程度利回りが得られるかを慎重に検証し、どのようなExitが可能かどうかも事前に分析しておく必要があります。収益計画の段階から収支がトントンで借入金を返済し、最終的に資産が自分のものになるといった納得に仕方は最終的に自分の首を占めることになります。青山や赤坂などの極めて収益性が高く、かつ土地の価値が低減しない特別な価値を有する場所がありますが、そうした特定の地域以外のアポート経営などは、上記の原則を逸脱しないことが大切です。

人生に一発逆転はありません。身の丈を超えた借り入れによってにわか資産家になっても長続きはしません。結局自分の器に応じた資産が手元に残るのです。

また、最近ではP2Pレンディングといった仕組みもあるようです。銀行等の金融機関を通さず、インターネット経由で個人や企業などに対して資金を提供するものですが、高い利率にひかれて得体のしれないものに自己資金を投下するのは、蛮勇以外の何物でもありません。寄付であれば別ですが、投資するのであれば、少なくとも投資対象の財務・経営状況を確認することができることが最低限の必要条件です。


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